B)右手だけを挙げている
こ招き猫は一般に右手もしくは左手を掲げていますが、豪徳寺の招猫観音は右手(右前足)を掲げ小判を持っていません。これは井伊家の菩提寺になったことが原因で、武士にとって左手は不浄の手のためです。そして小判をもっていない理由は「招き猫は機会を与えてくれるが、結果(=この場合は小判)までついてくるわけではなく、機会を生かせるかは本人次第」という考え方からだそうです。
豪徳寺の招き猫の話は次のようなものです。
江戸時代に彦根藩(ひこねはん)第二代藩主・井伊直孝が鷹狩りの帰りに豪徳寺の前を通りかかりました。その時、この寺の和尚の飼い猫が門前で手招きするような仕草をしていたため寺に立ち寄り休憩しました。すると雷雨が降り始めましたので、雨に降られずにすんだことを喜んだ直孝は、荒れていた豪徳寺を建て直すために多額の寄進をし、豪徳寺は盛り返した、というものです。
和尚はこの猫が死ぬと墓を建てて弔いました。後世に境内に招猫堂が建てられ、猫が片手をあげている姿をかたどった招福猫児が作られるようになりました。この縁で豪徳寺は井伊家の菩提寺となったとも言われています。
また、同じ豪徳寺説でも別の話も有ります。直孝が豪徳寺の一本の木の下で雨宿りをしていたところ、一匹の三毛猫が手招きをしていました。直孝がその猫に近づいたところ、先ほど雨宿りをしていた木に雷が落ちたので、それを避けられたことを感謝し、直孝は豪徳寺に多くのの寄進をした…というものです。
ところで招き猫には様々なタイプがありますのでご紹介します。
・右手(前脚)を揚げている猫は、金運を招く
・左手(前脚)を揚げている猫は、人(客)を招く
他に両脚を揚げたものもありますが、“欲張り過ぎると「お手上げ万歳」になるのが落ち"と嫌う人が多いようです。
・青色の猫は『学業向上』や『交通安全』。
・ピンクの猫は『恋愛』
・黒色の猫は『魔除け厄除け』。・・・ 昔の日本では『夜でも目が見える』等の理由から、福猫として魔除けや幸運の象徴とされていたためです。
・赤色の猫は『病除け』。赤は疱瘡や麻疹が嫌う色、といわれてきたためです。